原義から理解(8)assign vs transfer

譲渡を表す単語に assigntransfer があります。
どのように使い分けるのでしょうか?

[assign] の語源は [assignare] で、
・ad(~へ)
・signare(サインする)
から「印をつける」にあります。
そこから「割り当てる」の原義を持つようになりました。

[transfer] の語源は [transferre] で、
・trans(向こうへ)
・ferre(運ぶ)
から「物や人をある所から別の所へ移す」の原義を持つようになりました。

権利の譲渡には、[transfer] が使われます。
これは、権利が、ある人の所から別の人の所へ移るからです。

[transfer] に対して、[assign] は何の譲渡に使われる単語なのでしょうか?
リーガル文書においては、「契約譲渡」として使われます。
Assignment(契約譲渡制限条項)という項目が英文契約書に出てきます。

契約では、当事者に様々な権利義務が割り当てられます。
その結果、当事者は相手に権利を行使したり、相手に義務を負担したりするわけです。
ここで契約譲渡と言うのは、契約上の地位の移転のことで、たとえば、売主Aと買主Bが当事者の売買契約において、買主Bが他のCに買主の地位を譲渡(移転)することをいいます。
この契約譲渡においては、ABに割り当てられていた権利義務が、AC間に割り当てられることになるので、[assign] が使われるのです。

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    前回の記事は、原義から理解(7)breach vs. infringeです。
    この記事もお読みいただけると幸いです。

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