原義から理解(2)set forth

合意を規定する、をめぐって。
ここでの“合意を規定する”は、前回のブログで紹介した "provide" ではありません。
"set forth" になります。

本契約は、本契約で取り扱われた事項に関する当事者間の全ての了解と合意を規定するものであり…

set forth

は、

set=配置する、置く
forth=外へ

上のように、
set と forth の組み合わせなので、
外へ置く(配置する)というのが原義となります。

「規定する」には "provide" があるにもかかわらず、「合意を規定する」の場合は "provide" ではなく、"set forth" なのは何故なのでしょうか?
前回の "provide" の確認ですが、"provide" は権利義務を規定する文脈で使用しました。
"provide" の原義が、

先を見越して必要なものを用意する

ということにあり、権利義務を規定するというのが、

履行完了までの先を見越して、紛争防止・紛争解決に必要なもの(権利義務)を用意すること

なので、まさに "provide" の原義にピッタリとあてはまったのです。

合意を規定する、というのはどういうことでしょうか?
まず、合意=意思表示の合致です。

ある土地を5,000万円で売ります(申込)
その土地を5,000万円で買います(承諾)

申込という意思表示と承諾という意思表示が合致することが「合意」です。
合意は、契約交渉を進めていった結果、当事者が到達する一つの終点です。
合意に至るまでには当事者の交渉があります。交渉が成熟し合意できた場合に、その合意を当事者の面前に置いて合意内容を確認することが、「合意を規定する」ということです。

合意を当事者の面前に置く= set forth

翻訳学習は、日本語に対応する英単語を覚えることではありません。
何故その日本語の英訳としてその英単語を用いるのか?日本語と対応する英単語を語源・原義に遡って理解することが不可欠です。
「合意を規定する」という法務文書での言い方が何を表しているのか?を正確に理解していることが不可欠です。
日英の表面的な対応関係だけでは誤訳にしかなりません。
原文の深い理解と英語の深い理解のどちらも必要です。
翻訳において専門分野があるのは、専門分野の専門知識がないと正確な翻訳をすることができないからです。

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