原義から理解(3)stipulate

stipulate(規定する)をめぐって
今回取り上げるのは、provideやset forthの「規定する」と同じ日本語訳が当てられている "stipulate" です。
provideやset forthとどういった違いがあるのでしょうか?

stipulateは、ラテン語のstipulari(要求する)の過去分詞stipulatusに語源があります。
このstipulatusが英語に入ってきて「規定する」として使われるようになりました。
ただ、要求するというstipulatusの語義がstipulateにはありますので、(要求内容を規定する、という意味になります。

provideの原義が、

先を見越して必要なものを用意する

ということにあり、権利義務を規定するというのが、

履行完了までの先を見越して、紛争防止・紛争解決に必要なもの(権利義務)を用意すること

にあることからすると、権利義務を規定する、という意味でprovideを使うことが良くわかると思います。

set forthの原義は、

面前に置く

ということにあります。
交渉が成熟し合意できた場合に、その合意を当事者の面前に置いて合意内容を確認する際に用いる表現が「合意を規定する」ということで、まさに、

合意を当事者の面前に置く

ということになるので、「合意を規定する」では、set forthを使うことがわかると思います。

The internet usage policy stipulates that employees mayn't install applications without permission.
(インターネット利用規約は、従業員は許可なくアプリケーションをインストールすることはできないと規定しています。)

訳としては、「規定しています」とするのが一般的だと思いますが、この「規定する」は、要求内容の規定です。インターネット利用規約が、アプリの無断インストールをしてはならないと従業員に要求しているからです。
だから、要求内容を規定するの意味を持つstipulateが使われているのです。

stipulate
要求内容を)規定する

provide
先を見越して必要なものを)規定する

set forth
面前に置いて)規定する

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